お宝の山
あまり人に知られないようなマイナーなキノコの良さを見つけるのも楽しいが、キノコハンター達がいつも探し回って遭遇を夢見ているような高級キノコの大群落を見つけたときの喜びは言うまでもなく格別だ。
こういうのとか。
穏やかな茶色の傘と、白い網目の柄。
そして少し傘の開いたもののこれまた穏やかな薄黄色の管孔。
キノコ採りの間では、学名、または、キング・ボリートと呼ぶことが多いが、市場ではポルチーニの名で親しまれ、大きいのを売りに行けば一本20ドルくらいするという。へえ~。
でも、売らないよ。
せっかく大量に見つけたのだから、いろいろな食べ方で楽しむのだ。
色合いも穏やか系なら、こいつは味もかなり穏やかで、トマトと一緒に料理なんかしたらキノコの味は全く分らなくなってしまう。
むしろ一端乾燥させた方が料理中で自己主張する風味が増す。ステーキの上にかけるソースなんかを一端乾燥させたポルチーニの風味を生かしてワインで作ると抜群に美味いんだ。
なんて妄想をしながら、典型的な幼菌の硬さの感触を楽しみ、なるほどさすがシュタイン・ピルツというだけの事はあるねぇと悦に入る。
こんなに大量のキング・ボリートを見つけたのはこのときだけ。あの時は随分と興奮したなぁ。
ど、ど、ど、どこで見つけたの?と、キノコ狩りに興味がある人が問う。
当然、
I'm not gonna tell you that!
と答えるのである。